住宅ローンの審査のカギ『返済負担率』とは?

不動産トピックス

マイホーム購入のためには、資金計画が成り立たなくてはいけません。多くの人が住宅ローンを利用することになりますので、住宅ローンの審査に通ることがマイホーム購入を大きく前進させるカギとなります。では実際のところ、金融機関は皆さんの審査をどのように行なっているのでしょうか。必ず審査される項目や、金融機関が重視するポイントを見ていきましょう。

返済に大きく関わる項目

住宅ローンの審査ではまず事前審査(仮審査)があり、そこを通過した人のみが本審査へ進むことになります。

まずは、勤務先、勤続年数など職業に関する項目です。

勤続年数に関しては、「同一勤務先に1年以上」などの最低基準を設けている金融機関もあります。一般的には勤続3年以上あれば安心、などとも言われますが、長期間であるほどポイントは高くなります。金融機関としては「安定性」「継続性」を一番重視するからです。

転職して間もないと審査に通りにくい、という話も本当です。ただし、数ヶ月の給与実績(半年程度が理想)があれば割り戻し計算で年収を想定して、審査てくれる金融機関もあります。マイホーム購入と転職が重なる場合はヘッドハンティングなど明らかに年収がアップするケースを除き、計画的に行いましょう。

次に申込人の年齢です。

住宅ローンは最長で35年という長期間に渡り返済していきます。しかし、終わりが何歳になっても良いわけではありません。金融機関ごとに「完済年齢」も定められており、多くが80歳となっています。借入れ可能な期間は、単純計算で「80歳-現在の年齢」となります。80歳の誕生日までに完済など詳細ルールがありますので、「79歳ー現在の年齢」とする場合もあります。また、新築マンションなど完成までに時間がかかる場合は、借入時に何歳になっているかで計算されます。

ここで大きなターニングポイントを迎える年齢があります。最長35年が借入れ出来るのが45歳まで、ここからは1歳重ねるごとに34年、33年、と借入れ期間が短くなっていきます。借入れ年数が短くなるほど返済金額が高くなっていきますので、「住宅ローンは若いうちに始めた方がお得」などと言われるのはこうした背景があります。

最近では、40年や50年という超長期の住宅ローンを扱っている地方銀行も出てきました。20代30代といった若い世代には返済額が抑えられ、マイホームを購入しやすくなっています。

そして一番重要なのが年収金額です。金融機関は、その人の年収に応じた金額しか貸してくれません。借りたお金は返すのが当たり前ですが、当然ながら一定以上の金額は返せないのでここは明確な基準が設けられています。それが「返済負担率」と呼ばれるものです。

返済負担率はどう計算する?

住宅ローンの審査では1年間の収入、つまり年収金額を用います。会社員などいわゆる給与収入の人は、源泉徴収票を確認してみてください。この中で一番大きい金額、「支払金額」と書かれている欄の数字があなたの税込年収になります。

この年収に対して、1年間で支払う住宅ローンの返済金がどのくらいの割合を占めるかが問題となるのです。一般的には、融資可能な金額は税込年収に対して35%以内とされています。ただし、年収400万円未満の場合は30%以内などと段階的に基準を設けているケースも多くあります。

現在は低金利時代が続いていますが、審査上では実際の適用金利ではなく「審査金利」が用いられます。大体3.1%~4%くらいと言われ、各金融機関で異なります。

例えば年収600万円の人が、3000万円を35年で借りようとした場合を、審査金利3.5%で計算してみましょう。

毎月の返済額は123,987円 年間返済額は1,487,844円です。

返済負担率は1,487,844円÷6,000,000×100=24.79% となります。

この場合35%以内に収まっているという計算になります。

では同じ条件で借入れ5000万円を希望するとどうなるでしょうか。

毎月の返済額は206,645円 年間返済額は2,479,740円になります。

返済負担率は2,479,740円÷6,000,000×100=41.32%で、35%を大きく超えてしまいました。

この場合は審査を通過することは難しく、減額を検討せざるを得ないでしょう。この審査金利のケースでは、4,230万円くらいが限度となります。

もしも車のローンなど、他の借入を返済中の場合はどうでしょうか。実は、審査においては他の借入の有無が非常にポイントとなるのです。先程の例では、他の借入れがないケースでの返済負担率です。ここに毎月20,000円、ボーナス月は100,000円のマイカーローンの返済を加えてみましょう。年間400,000円の返済がプラスとなり、年間返済額は1,887,844円にアップします。

返済負担率も31.46%までアップしますが、何とか35%以内には収まっています。ここで35%を超えてしまった場合、マイカーローンを事前完済することを条件として審査を通過出来ることもあります。マイカーローンを完済するか、借入れ金額を減らすか、資金計画を練り直す必要が出てきます。

返済負担率は非常に大切な審査基準です。正確な判断をするためにも、現在支払中の他の借入れは、事前に情報を整理しておきましょう。

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